放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

確定的影響と確率的影響

確定的影響と確率的影響について記載します。 確定的影響とはしきい線量のある放射線影響です。 確率的影響とはしきい線量のない放射線影響です。 しきい線量とは、症状がでる最小作用強さです。 〇症状の例 確定的影響 白血球の減少 皮膚の紅斑 脱毛 不妊 …

陽電子放射断層撮影法(PET)について[過去問解説有]

陽電子放射断層撮影法(PET)について説明します。 記事の最後には過去問解説も記載しますので理解しましょう。 陽電子放射断層撮影法とは身体を構成する元素の放射性同位体を体内に入れてガン等の病気を発見する検査法です。 PET検査で最もよく使われる放射性…

線エネルギー付与(LET)について

線エネルギー付与(LET)について説明します。 線エネルギー付与とはエネルギーを持った粒子、荷電した粒子が物質の中を進むとき、単位長さ当たりに失うエネルギーのことをいいます。 単位:keV/μm など。 LETに着目すると放射線は2種類に分けることが出来ま…

同位体希釈法について

同位体希釈法の ・直接希釈法 ・逆希釈法 は試験に必ず出題されるので覚えて理解しておきましょう。 各々簡単に説明すると、、、 ・直接希釈法 混合試料中にある特定の成分を求めるために、求めたい成分と化学式が同じ成分に放射性同位体で標識したものを入…

同位体希釈法:逆希釈法について[過去問解説有]

逆希釈法について記載します。 逆希釈法の方法を以下、記載します。 ①混合物中の成分について定量したい成分と同じ化学式の非放射性成分を加えます。 ※定量したい成分の比放射能Sは把握されている必要があります。 ②よく混ぜた後、定量したい成分を一部だけ…

同位体希釈法:直接希釈法について[過去問解説有]

直接希釈法について記載します。 直接希釈法の方法を以下記載します。 ①混合物中の成分について定量したい成分と同じ化学式の放射性同位体で標識した成分を加えます。 ②よく混ぜた後、定量したい成分を一部だけ化学分離して比放射能を計測します。 ③計測した…

溶媒抽出法[過去問解説有]

溶媒抽出法について記載します。 溶媒抽出法とは水相中にある放射性核種を有機溶媒によって取り出す方法です。 絵として内容理解してしまいましょう。 【過去問平成22年度化学】 100mLの水相中にあるラジオアイソトープ(RI)を100mLの有機相に溶媒抽出すると9…

放射平衡について<過去問解説有>

放射平衡について説明します。 放射平衡とは、 親核種の半減期が娘核種の半減期より長い場合に親核種、娘核種が同時に存在するため放射能が釣り合う状態のことを言います。 上記放射平衡には2種類のパターンがあります。 一つ目:過渡平衡(かとへいこう) …

チェルノブイリ 石棺とシェルター

チェルノブイリ事故とは1986年にチェルノブイリ原発4号炉が爆発し広島型原爆の何倍もの放射性物質が放出された事件です。 石棺 チェルノブイリの話題では「石棺(せっかん、せきかん)」という言葉が良く使われると思います。 この石棺とは一体どういうもので…

筆記試験合格後の放射線取扱主任者講習について

筆記試験を合格した後の放射線取扱主任者講習について記載します。 第一種、第二種放射線取扱主任者の免状を交付してもらうためには、筆記試験に合格した後、 ・第一種:5日間 ・第二種:3日間 の放射線取扱主任者講習会を受講する必要があります。 講習会…

壊変定数λと放射能A[Bq]を求める式

壊変定数λと放射能について解説します。 壊変定数λを使用した放射能を求める式 がなぜこの形になるのか順を追って理解しましょう。 放射能は単位時間あたりの原子壊変数(放射性物質の原子が減る数)であり、壊変定数を用いて以下式となります。 これを変換す…

映画「Fukushima50」 について

2020年3月6日に映画「Fukushima50」が公開されます。 Fukushima50は東日本大震災の時、福島第一原発で現場にいた方々がどのように活躍したかを描いた映画です。 原発事故で東日本は人の住むことが出来ない土地となる寸前でした。しかし、現場の活躍によりそ…

荷電粒子の飛程まとめ

荷電粒子の飛程を求める式をまとめます。 全て覚えてしまいましょう。 β線の飛程 飛程を求める公式はβ線エネルギーにより2通りに分けられます。 β線のエネルギーをEとすると、 0.15MeV

荷電粒子の飛程比較について[過去問解説有]

荷電粒子の飛程比較について過去問を解説しながら説明します。 荷電粒子の飛程には以下に紹介する式の様な関係があります。 試験では、数種類の荷電粒子の飛程を比較する問題を解くために使用します。 ∝は比例の意味であることに注意しましょう。 R:飛程 M…

1月です。今から試験対策初めましょう!

サイトに訪問して頂きありがとうございます。 2020年になりましたね。 僕が第一種放射線取扱主任者試験を合格したのが2014年なので、もう6年たったことになります。 まだ試験勉強していない方は今から始めましょう。 まずは、参考書一冊をざっくり…

中性子捕獲反応について[過去問解説有]

中性子捕獲反応について記載します。 中性子捕獲とは、原子核は中性子と衝突して合体し、質量が一つ増える現象です。中性子が原子核に吸収された際にγ線が放出される特徴があります。 <過去問> 次の反応のうち、中性子捕獲反応はどれか。 (1)(n、α) (2)(n、p…

単位Gy、Jについて[過去問解説有]

放射線計測で用いられる単位Gy(グレイ)、J(ジュール)について記載します。 過去問も解説しますので理解しましょう。 試験では、様々な放射線計測に使用される単位が出てきますが、 全て吸収線量Gy(J/kg)に変換できるよう覚えておきましょう。 以下、試験に…

粒子放出反応について[過去問解説有]

粒子放出反応について過去問を解説しながら説明します。 粒子放出反応とは、原子核に中性子が入射して陽子等が放出される反応です。 粒子放出反応は以下の様に略されます。 (n,p)、(n,α)、(n,n) 過去問解説 [平成28年度物理 問12] 熱中性子が3Heと(n,p)反応…

荷電粒子の衝突阻止能について[過去問解説有]

荷電粒子の衝突阻止能を算出する式について記載します。 衝突阻止能を求める式は必ず覚えておきましょう。 過去問についても解説します。 衝突阻止能とは放射線が入射する物質中の電子にエネルギーを与えて励起・電離作用で単位長さ当たりに失うエネルギーの…

点線源からの吸収線量の求め方[過去問解説有]

点線源からの吸収線量を求める方法を過去問の解説をしながら説明します。 <平成28年度物理29問目> 314Mbqのβ線点線源を40秒間取り扱うとき、指先の皮膚の吸収線量[mGy]として最も低いものは次のうちどれか。ただし、線源と指先の距離は10cmで、このβ線の皮…

中性子の弾性散乱について[過去問解説有]

中性子の弾性散乱について記載します。 中性子の弾性散乱では、中性子が原子核と衝突した時の ・原子核の反跳エネルギー を求める問題が良く出題されます。 原子核の反跳エネルギーを求めるための公式を覚えておきましょう。 式中の記号の意味は以下の図を参…

照射線量・カーマについて

照射線量・カーマについて記載します。 各々の意味について混乱しないよう理解しましょう。 放射線の測定対象や放射線が入射する物質の定義が変わります。 照射線量 照射線量とは、質量dmの空気と光子(X線、γ線)が反応した際に生成される二次電子が完全…

W値について[過去問解説有]

W値について解説します。 W値とは、1つの電子対(自由電子・陽イオン)を作るために必要な荷電粒子のエネルギーです。空気、アルゴン等それぞれ違う値が与えられています。 ※W値は、荷電粒子のみに適用されます。 W値が使われている試験問題を解説します。 […

GM計数管の原理と分解時間について[過去問解説有]

GM計数管の原理と分解時間について解説します。 GM計数管については分解時間を用いた計算問題が良く出題されますので、式を覚えてしまいましょう。 GM計数管は、非常に感度良くγ線やβ線の入射した本数を数えることが出来ます。 ※入射した放射線のエネルギー…

α線の飛程について[過去問解説有]

α線の飛程について記載します。 試験に臨む上で、α線の飛程を求める式を2通り覚えておきましょう。 ほぼ毎年出題される式です。 ①α線の空気中の飛程を求める式 R:α線の飛程(α線) E:MeV単位のα線のエネルギー ②ある物質中のα線の飛程が判明しているときに…

光核反応について

光核反応について説明します。 試験では「正しいものの組み合わせはどれか」という問いで光核反応の性質が組み合わせの選択肢に上がっていることが多いです。 光核反応とは、高エネルギーのγ線が原子核に入射すると原子核より、陽子・中性子・α線等が放出さ…

荷電粒子の阻止能について

荷電粒子の阻止能について記載します。 荷電粒子が物質との相互作用でエネルギーを失う現象には以下の2通りがあります。 ①荷電粒子が物質中の電子にエネルギーを与え、励起や電離作用でエネルギーを失います。この失うエネルギーを衝突阻止能と呼びます。衝…

フルエンスについて

フルエンスについて説明します。 フルエンスには4つの種類があり、それぞれに意味があるので理解しましょう。 まずは、下の図を見てください。 m2:放射線の当たる面積を表します。 Q:放射線の本数を表します。 J:放射線1本のエネルギーを表します。 4つの…

放射線取扱主任者試験まで3ヶ月

今年度の試験日程がアナウンスされていますね。 第1種試験:令和元年8月21日(水)、8月22日(木) 今年から出題科目に変更があるのでしっかり確認しましょう。 8月21日:法令(75分)、実務(100分)、物理(110分) 8月22日:化学(110分)、生物(110分) 従来の試験と…

放射化分析について

放射化分析について記載します。 放射化分析については、計算問題が出題されることが多いです。計算問題に使用する式の意味から理解しましょう。 放射化分析とは安定な核種に放射線(主に中性子)を照射することにより不安定にさせ、半減期や放射線のエネルギ…