放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

γ線、X線

線エネルギー付与(LET)について

線エネルギー付与(LET)について説明します。 線エネルギー付与とはエネルギーを持った粒子、荷電した粒子が物質の中を進むとき、単位長さ当たりに失うエネルギーのことをいいます。 単位:keV/μm など。 LETに着目すると放射線は2種類に分けることが出来ま…

特性X線・オージェ電子について

特性X線・オージェ電子について解説します。 まず、特性X線・オージェ電子が発生する過程を説明します。 ①軌道電子が飛び出す。 ②励起状態を解消するため、軌道電子が飛び出した軌道上に上位軌道から軌道電子が遷移する。 ③軌道のエネルギー準位差(EK,EL…

光電効果・コンプトン散乱・電子対生成まとめ

光電効果・コンプトン散乱・電子対生成についてまとめます。 それぞれの反応の発生確率を見ると、以下のことが分かります。 ・光子のエネルギーが低い場合光電効果が支配的である。 ・吸収物質の原子番号が小さいほどエネルギーが上がるにつれて光電効果→コ…

光電効果について

光電効果について記載します。 光電効果とは、光子のエネルギーが軌道電子に全て与えられ、光電子として放出される現象です。光電子のエネルギーは光子のエネルギーから軌道電子の結合エネルギーを差し引いた値になります。 軌道電子が光電子として放出され…

減弱係数・半価層について[過去問解説有]

線減弱係数μ・質量減弱係数μm・半価層について説明します。 〇線減弱係数μ(単位:m^-1,cm^-1) まず、線減弱係数μについて説明します。遮蔽体を通過する光子は光電効果・コンプトン錯乱・電子対生成等により本数を減らします。本数の減り易さを表す数値が線減…

電子対生成・対消滅について

電子対生成と対消滅について説明します。 電子対生成 光子(γ線)が原子核に衝突、又は原子核付近のクーロン場に入射したときγ線がエネルギーを失い、電子と陽電子が生成される現象です。 電子対生成は、電子・陽電子の静止エネルギーの和である1.02MeV以上の…

γ壊変の反跳核エネルギーについて

γ壊変が起こった時に粒子が持つ反跳核エネルギーについて記載します。γ線は質量を持たないため粒子用の運動エネルギー式・運動量式が使えません。 そこで、γ線の運動エネルギーはプランク定数hと振動数νを用いて光子用の運動エネルギー式・運動量式で表しま…

コンプトン散乱について

コンプトン散乱について記載します。 コンプトン散乱とは、光子と軌道電子の衝突により光子が散乱し、電子が反跳する現象です。 入射光子・散乱光子・反跳電子の運動量・エネルギーから以下の式が導き出されます。 水平方向:P0=Pr×cosθ+Pm×cosφ 垂直方向:0…

制動放射について

制動放射についてに記述します。 制動放射とは、荷電を持った粒子が原子核周りのクーロン場に入射し曲げられる際に失ったエネルギーを制動X線として放出する現象です。 原子核のクーロン力は原子番号が高くなるほど大きくなります。一般的に原子番号の二乗に…

γ線の減衰についての正しい認識

僕は試験勉強を始めた当初、光子(γ線、X線)の減衰について誤った認識を持っていました。それについて記します。例えば、鉛等でγ線を遮蔽した場合、γ線1本1本のエネルギーが小さくなると当初認識していました。遮蔽物を通過するγ線の本数が減るというのが正…