放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

荷電粒子の飛程比較について[過去問解説有]

荷電粒子の飛程比較について過去問を解説しながら説明します。

 

荷電粒子の飛程には以下に紹介する式の様な関係があります。

試験では、数種類の荷電粒子の飛程を比較する問題を解くために使用します。

∝は比例の意味であることに注意しましょう。

f:id:hatomugikun:20200125034804p:plain

R:飛程

M:荷電粒子の質量

E:荷電粒子のエネルギー

z:荷電粒子の原子番号

v:荷電粒子の速度

 

<過去問解説>

次の3つの荷電粒子に対する水中飛程の大小関係として、最も適切なものはどれか。

A 100MeVの陽子

B 200MeVの重陽子

C 1200MeVの12C原子核

(1)A<B<C、(2)B<A<C、(3)C<A<B、(4)C<B<A

(5)1から4の選択肢以外

[解説]

A、B、Cについて以下式を用いて飛程を比較します。

f:id:hatomugikun:20200125053659p:plain

A:1/1×(100/1)^2=10^4

B:1/2×(200/1)^2=2×10^4

C:1/12×(1200/12)^2=8.3×10^2

これより、C<A<Bとなり答えは(3)となります。

 

参考としてA、B、Cについて、以下式を用いて飛程を比較する方法も紹介します。

f:id:hatomugikun:20200125054307p:plain

核子1つに対するエネルギーはA、B、Cどれも100MeVのためvの値は等しくなりM/z^2に対してのみ比較すれば良いことになります。一つ目に解説した式よりも短時間で解を求めることが出来ます。

POINT

ここで、なぜ核子1つに対するエネルギーがどれも100MeVであるか解説します。

例として、まず A 100MeVの陽子のvを求めます。

荷電粒子のエネルギーE=(1/2)×m×v^2からvを以下のように算出します。

f:id:hatomugikun:20200125061513p:plain

 

次にC 1200MeVの12C原子核についてもvを以下の様に算出します。

f:id:hatomugikun:20200125061409p:plain

以上の様に、vの値が等しくなります。過去問を何度も解けばvの値が等しいことにピンとくるようになるかと思います。

 

関連として、以下の記事閲覧ください。