荷電粒子の飛程比較について過去問を解説しながら説明します。
荷電粒子の飛程には以下に紹介する式の様な関係があります。
試験では、数種類の荷電粒子の飛程を比較する問題を解くために使用します。
∝は比例の意味であることに注意しましょう。
R:飛程
M:荷電粒子の質量
E:荷電粒子のエネルギー
z:荷電粒子の原子番号
v:荷電粒子の速度
<過去問解説>
次の3つの荷電粒子に対する水中飛程の大小関係として、最も適切なものはどれか。
A 100MeVの陽子
B 200MeVの重陽子
C 1200MeVの12C原子核
(1)A<B<C、(2)B<A<C、(3)C<A<B、(4)C<B<A
(5)1から4の選択肢以外
[解説]
A、B、Cについて以下式を用いて飛程を比較します。
A:1/1×(100/1)^2=10^4
B:1/2×(200/1)^2=2×10^4
C:1/12×(1200/12)^2=8.3×10^2
これより、C<A<Bとなり答えは(3)となります。
参考としてA、B、Cについて、以下式を用いて飛程を比較する方法も紹介します。
核子1つに対するエネルギーはA、B、Cどれも100MeVのためvの値は等しくなりM/z^2に対してのみ比較すれば良いことになります。一つ目に解説した式よりも短時間で解を求めることが出来ます。
POINT
ここで、なぜ核子1つに対するエネルギーがどれも100MeVであるか解説します。
例として、まず A 100MeVの陽子のvを求めます。
荷電粒子のエネルギーE=(1/2)×m×v^2からvを以下のように算出します。
次にC 1200MeVの12C原子核についてもvを以下の様に算出します。
以上の様に、vの値が等しくなります。過去問を何度も解けばvの値が等しいことにピンとくるようになるかと思います。
関連として、以下の記事閲覧ください。