放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

α線の飛程について[過去問解説有]

α線の飛程について記載します。

 

試験に臨む上で、α線の飛程を求める式を2通り覚えておきましょう。

ほぼ毎年出題される式です。

 

①α線の空気中の飛程を求める式

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R:α線の飛程(α線) 

E:MeV単位のα線のエネルギー

 

②ある物質中のα線の飛程が判明しているときに他の物質中を通過するα線の飛程を求める

この式をブラッグ・クレーマン則と呼びます。

これは重荷電粒子の飛程は物質の密度に反比例し、原子量に比例するという経験則から算出されている式です。

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よって

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R:算出するα線の飛程

R0:判明しているα線の飛程

ρ:飛程を算出するα線が通過する物質の密度

ρ0:飛程が判明しているα線が通過する物質の密度

A:飛程を算出するα線が通過する物質の質量数

A0:飛程が判明しているα線が通過する物質の質量数

 

過去問

<平成23年度物理科目より> 

5.5MeVα線のシリコン(A=28)における飛程をR1[mg・cm^-2]、金(A=197)における飛程をR2[mg・cm^-2]としたとき、R2/R1の値として最も近いものは次のうちどれか。

(1)0.8 (2)1.0 (3)1.5 (4)2.0 (5)2.7

<解説>

ブラッグ・グレーマン則の式を変形して与えられた数値を代入します。

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よって

R2/R1=(197/28)^0.5=2.7

 となり、答えは(5)です。

 

関連としてβ線の飛程を算出する式も覚えておきましょう。

hatomugikun.hatenablog.com