GM計数管の原理と分解時間について解説します。
GM計数管については分解時間を用いた計算問題が良く出題されますので、式を覚えてしまいましょう。
GM計数管は、非常に感度良くγ線やβ線の入射した本数を数えることが出来ます。
※入射した放射線のエネルギーを計測することはできません。
まず、GM計数管の原理について順を追って説明します。
GM計数管にはハロゲンガスが封入されています。
①GM計数管の陰極(金属壁)と陽極(芯線)に高電圧をかけると放射線が入射したときイオン対が生成されます。
②生成されたイオン対は近くの気体分子を電離して新たにイオン対を生成させます。
③GM計数管にかける電圧を上げていくと1つのイオン対でもねずみ算的に新たなイオン対が生成され電子なだれが起きます。
④電子なだれが起きた際、GM計数管に放電が起こります。
⑤GM計数管はこの放電の回数を数えて放射線の本数を算出します。
GM計数管の原理を理解した上で、GM計数管の分解時間とはなにか確認しましょう。
GM計数管では、大量のイオン対が生成されたとき、一時的に芯線に陽イオンがあつまり、放電されなくなります。再び、放電が起こるまでにかかる時間を分解時間と呼びます。分解時間が過ぎるまで、イオン対が生成されても装置は反応しません。GM計数管の分解時間は100μS程度です。
試験では、この分解時間を用いて、真の係数率(実際に入射した線量率)を求める問題が出題されます。以下の式が真の係数率を求めるに使用する式です。覚えておきましょう。
n=n0(1-nτ)
n:実際の係数率[cps]
n0:真の係数率[cps]
τ:分解時間[s]
<平成21年度物理科目より>
分解時間0.25msの放射線検出器により、5秒間で4.0×10^3カウントを得た。この場合、真の計数率(cps)に最も近い値は次のうちどれか。
(1)800 (2)900 (3)1000 (4)1100 (5)1200
[解説]
n=n0(1-nτ)
n:実際の係数率[cps]
n0:真の係数率[cps]
τ:分解時間[s]
の式をn0:真の計数率を求める式に変換すると以下の様になります。
n0=n/(1-nτ)
ここに
n:実際の係数率[cps]=(4.0×10^3)/5
τ:分解時間[s]=0.25×10^-3
を代入して、答えは(3)n0=1000
となります。