放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

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粒子放出反応について[過去問解説有]

粒子放出反応について過去問を解説しながら説明します。

 

粒子放出反応とは、原子核に中性子が入射して陽子等が放出される反応です。

粒子放出反応は以下の様に略されます。

(n,p)、(n,α)、(n,n)

 

過去問解説

[平成28年度物理 問12]

熱中性子が3Heと(n,p)反応を起こした際に放出される陽子の運動エネルギー[MeV]はいくらか。次のうちから最も近いものを選べ。ただし、この反応の発熱エネルギーは0.765MeVである。

1)0.153 2)0.383 3)0.574 4)0.612 5)0.765

 

<解説>

 3Heに熱中性子が入射し(n,p)反応を起こす核反応は以下の式に表されます。

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3Heに熱中性子の運動エネルギーは生成される3Hとpに質量に反比例して配分され、

Ep=0.765[MeV]×(3/(3+1))=0.574[MeV]

ET=0.765[Mev]×(1/(3+1))=0.191[MeV]

Ep:陽子の運動エネルギー

 ET:3Hの運動エネルギー

となります。

よって、解は3)0.574

ここで、なぜ熱中性子のエネルギーが3Hとpの質量に反比例され分配されるのか解説します。

陽子の質量をm、速度をv

3Hの質量をM、速度をVとすると

運動保存則よりmv=MVとなります。

v/V=M/m=3とおき

EpETの比を求めると、

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となり、運動エネルギーが質量に反比例していることがわかります。

 

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