放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

放射性崩壊(α崩壊、β崩壊、γ崩壊)[過去問解説有]

放射性崩壊について解説します。放射性崩壊の3種類 ・α崩壊 ・β崩壊 ・γ崩壊 についてまず説明します。 α崩壊 不安定な原子核がα線を放出して安定した原子核に変化しようとする現象です。 上図に示すようにα崩壊によりα線を放出した原子核は質量数4、原子…

内部転換について[過去問解説有]

内部転換について記載します。 記事の最後には内部転換について問われた過去問について解説しますので理解しましょう。 以下の現象を内部転換と呼びます。 原子核が励起状態から基底状態に戻る際γ線が発生します。又、γ線を発生させる代わりに励起状態から基…

軌道電子捕獲について

軌道電子捕獲について記載します。 原子核中の陽子が軌道電子を捕獲し中性子に変化する反応です。陽子が1つ減るため原子番号も1つ低くなり異なる原子核となります。質量数に変化はありません。原子核中に陽子が多くあり不安定な場合、原子核が安定を保とう…

特性X線・オージェ電子について

特性X線・オージェ電子について解説します。 まず、特性X線・オージェ電子が発生する過程を説明します。 ①軌道電子が飛び出す。 ②励起状態を解消するため、軌道電子が飛び出した軌道上に上位軌道から軌道電子が遷移する。 ③軌道のエネルギー準位差(EK,EL…

光電効果・コンプトン散乱・電子対生成まとめ

光電効果・コンプトン散乱・電子対生成についてまとめます。 それぞれの反応の発生確率を見ると、以下のことが分かります。 ・光子のエネルギーが低い場合光電効果が支配的である。 ・吸収物質の原子番号が小さいほどエネルギーが上がるにつれて光電効果→コ…

第1種放射線取扱主任者受験のための集中セミナー

4月になりますね。 皆さん、試験対策はどうでしょうか? アイソトープ協会から以下の講座案内が出ていますね! 定員制なのでお早めに! 第一種放射線取扱主任者受験対策講習 〇第1種放射線取扱主任者受験のための集中セミナー 2019年5月27日(月)-5月31…

光電効果について

光電効果について記載します。 光電効果とは、光子のエネルギーが軌道電子に全て与えられ、光電子として放出される現象です。光電子のエネルギーは光子のエネルギーから軌道電子の結合エネルギーを差し引いた値になります。 軌道電子が光電子として放出され…

アボガドロ数と放射能について[過去問解説有]

アボガドロ数について説明します。 アボガドロ数とは、炭素12Cが12g集まった時の原子の数:6×10^23 個のことです。 6×10^23個=1mol(モル)と定義されています。 原子がもつ質量数は、原子が1mol=6×10^23個あるときのg数です。これは、炭素12Cを基準に算出され…

減弱係数・半価層について[過去問解説有]

線減弱係数μ・質量減弱係数μm・半価層について説明します。 〇線減弱係数μ(単位:m^-1,cm^-1) まず、線減弱係数μについて説明します。遮蔽体を通過する光子は光電効果・コンプトン錯乱・電子対生成等により本数を減らします。本数の減り易さを表す数値が線減…

チェレンコフ光について[過去問解説有]

チェレンコフ光について記述します。 チェレンコフ光とは、物質中の荷電粒子速度が光速度を超えるときに発生する光です。 特に、水中での光速度は真空中での光速度と比較し0.75倍となるため、荷電粒子の速度が光速度を超えることがあります。 荷電粒子の進行…

β線の飛程について

β線の飛程について記述します。 β線の飛程を求める公式はβ線エネルギーにより2通りに分けられます。 β線のエネルギーをEとすると、 0.15MeV

中性子の反応断面積

中性子の反応断面積について記載します。 反応断面積とは、中性子が照射対象物質の原子核と1秒間に反応する量を表す概念です。 j(フルエンス率):単位時間、単位面積に照射される中性子ビームの個数を表します。 N0dx:十分に薄い対象物質内の原子核の個数…

Q値と発熱・吸熱反応について[過去問解説有]

Q値と発熱・吸熱反応について解説します。 Q値、発熱・吸熱反応はセットで理解しましょう。 計算問題は毎年必ず出題されますので、特に吸熱反応のしきい値算出式は覚えてしまいましょう。 まず、Q値とは核反応、放射性壊変の過程で発生、又は吸収されるエネ…

電子対生成・対消滅について

電子対生成と対消滅について説明します。 電子対生成 光子(γ線)が原子核に衝突、又は原子核付近のクーロン場に入射したときγ線がエネルギーを失い、電子と陽電子が生成される現象です。 電子対生成は、電子・陽電子の静止エネルギーの和である1.02MeV以上の…

半減期について[過去問解説有]

半減期について記載します。 半減期とは、放射性物質が壊変して元の半分になるまでの時間です。放射性物質が半分になると、発生する放射線の本数も半分になります。放射線の本数が半分になるということは光子束密度(フルエンツ率)が半分になるということです…

β線と電子線

β線と電子線の違いについて記載しました。試験で問われることは無いと思いますが勉強する上で頭の中に入れておくと良いでしょう。 β線と電子線の違い〇β線は原子核がβ⁻壊変した際に発生する。〇電子線は人工的に作り出したもの。 β線と電子線に性質の違いは…

γ壊変の反跳核エネルギーについて

γ壊変が起こった時に粒子が持つ反跳核エネルギーについて記載します。γ線は質量を持たないため粒子用の運動エネルギー式・運動量式が使えません。 そこで、γ線の運動エネルギーはプランク定数hと振動数νを用いて光子用の運動エネルギー式・運動量式で表しま…

コンプトン散乱について

コンプトン散乱について記載します。 コンプトン散乱とは、光子と軌道電子の衝突により光子が散乱し、電子が反跳する現象です。 入射光子・散乱光子・反跳電子の運動量・エネルギーから以下の式が導き出されます。 水平方向:P0=Pr×cosθ+Pm×cosφ 垂直方向:0…

制動放射について

制動放射についてに記述します。 制動放射とは、荷電を持った粒子が原子核周りのクーロン場に入射し曲げられる際に失ったエネルギーを制動X線として放出する現象です。 原子核のクーロン力は原子番号が高くなるほど大きくなります。一般的に原子番号の二乗に…

γ線の減衰についての正しい認識

僕は試験勉強を始めた当初、光子(γ線、X線)の減衰について誤った認識を持っていました。それについて記します。例えば、鉛等でγ線を遮蔽した場合、γ線1本1本のエネルギーが小さくなると当初認識していました。遮蔽物を通過するγ線の本数が減るというのが正…

受験体験記

試験当日まで何をしていたか書いてみようと思います。 僕は学生時代、第1種放射線取扱主任者試験の勉強を10月頃から始めて合格しました。試験は8月なので勉強期間は10ヶ月ほどです。 10月~12月とにかく基本を詰め込みました。使った参考書は弘文社の「わか…