放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

放射性崩壊(α崩壊、β崩壊、γ崩壊)[過去問解説有]

放射性崩壊について解説します。放射性崩壊の3種類

・α崩壊

・β崩壊

・γ崩壊

についてまず説明します。

 

α崩壊

不安定な原子核がα線を放出して安定した原子核に変化しようとする現象です。

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上図に示すようにα崩壊によりα線を放出した原子核は質量数4、原子番号2の減少が起こります。

 

β崩壊

不安定な原子核がβ線(電子)を放出して安定した原子核に変化しようとする現象です。

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β崩壊とは、原子核中に中性子が陽子より多く存在する場合に起きる現象です。β崩壊によりβ線を放出した原子核は質量数に変化は見られませんが原子番号が1つ増加します。中性子の多い原子核は安定な状態に変化しようとし、β線(電子)を放出します。そして、中性子を陽子に変化させるのです。そのため、原子番号が1つ増えます。

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 γ崩壊

α崩壊、β崩壊により不安定(励起状態)となった原子核が安定した状態(基底状態)に変化する現象です。γ崩壊後の原子核に質量数、原子番号の変化はありません。

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不安定な原子核が安定な原子核に変化するまでに何回α崩壊・β崩壊が起きるか、過去問を元に解説します。

<過去問>

トリウムTh(原子番号90/質量数232)が鉛Pb(原子番号82/質量数208)に壊変するまでに起こる壊変の回数の正しい組み合わせはどれか。

 α壊変の回数 β⁻壊変の回数

(1)  5      3

(2)  5      4  

(3)  6      3

(4)  6      4

(5)  6      5

 

[解説]

トリウムの原子核がα崩壊、β崩壊をしながら鉛の原子核に変化する式は以下のようになります。

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ここから、以下2式を導きだせます。

質量数に着目:232=4X + 208

原子番号に着目:90=2X + (-1)y + 82

これを計算し、α崩壊は6回β崩壊は4回起きることが分かります。

よって答えは(4)です。

 

関連としてγ壊変の反跳核エネルギーについても理解しましょう。↓