放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

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Q値と発熱・吸熱反応について[過去問解説有]

Q値と発熱・吸熱反応について解説します。

 

Q値、発熱・吸熱反応はセットで理解しましょう。

計算問題は毎年必ず出題されますので、特に吸熱反応のしきい値算出式は覚えてしまいましょう。

 

まず、Q値とは核反応、放射性壊変の過程で発生、又は吸収されるエネルギーのことです。 

核反応を式に表すと以下の様になります。

A+a=B+b+Q

A:標的核 a:入射粒子 B:生成核 b:放射粒子 Q:Q値

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ここで、Q値を式に表すと以下の様になります。

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mA:標的核の質量

ma:入射粒子の質量

mB:生成核の質量

mb:放射粒子の質量

 

Q値がQ>0である場合:発熱反応

Q値がQ<0である場合:吸熱反応

と呼びます。

 

Q<0である吸熱反応の場合、反応が起こる条件は

・標的核にーQ以上のエネルギーが与えらること

です。

標的核にーQのエネルギーが与えられるためには、入射粒子のエネルギーはーQよりも大きい必要があります。入射粒子が標的核に当たるとき標的核が動いてしまうためです。入射粒子のエネルギーを全て標的核が受け取るわけではありません。

そのQ値よりも大きいエネルギーがしきい値です。

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しきい値を表す式は以下の通りです。

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上記の式は必ず覚えておきましょう。

 

又、発熱反応にはしいき値がありません。

Q値は核反応、又は放射性壊変の過程で発生した生成核・放出粒子の運動エネルギーとなります。このとき、Q値は、生成核・放出粒子の質量に反比例して配分されます。

次の過去問解説を参考にしてください。

 

過去問解説

<平成21年物理科目より>

6Li(n、α)3H の反応において、この反応のQ値を4.8MeVとすると、生成核3Hに与えられるエネルギー[MeV]として最も近いものを次から選べ。

(1)1.6 (2)2.1 (3)2.7 (4)3.2 (5)3.8 

[解説]

Q値は正の値であるため、発熱反応です。

Q値は生成核・放出粒子の質量に反比例して配分されるため、生成核3Hに与えられるエネルギーは以下の様に求められます。

4/(4+3)×4.8[MeV]=2.7[MeV]

よって、答えは(3)2.7です。

 

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