放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

W値について[過去問解説有]

W値について解説します。

 

W値とは、1つの電子対(自由電子・陽イオン)を作るために必要な荷電粒子のエネルギーです。空気、アルゴン等それぞれ違う値が与えられています。

※W値は、荷電粒子のみに適用されます。

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W値が使われている試験問題を解説します。

 

[平成30年度物理26問目]

電子平衡条件下で有感体積1.0cm^3の空気空洞電離箱にγ線を照射したところ10nCの電荷を得た。電子の空気に対するW値を34eV,このときの空気の密度を1.3kg/m^3とすると、空気の吸収線量[Gy]の値として最も近い値は次のうちどれか。

 1)0.26 2)0.38 3)2.6 4)3.8 5)4.4

 

まず、10nCとは電子がいくつある場合の電荷であるか考えましょう。

電子1個が持つ電荷を素電荷とよび、1.6×10^-19Cとなります。

よって10nCとは

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分の電荷を表します。

W値とは1つの電子対(自由電子・陽イオン)を作るためのエネルギーであるため、求めた電子の数にW値をかけると電荷10nCを作るためにどれくらいのエネルギーが必要であったか求めることが出来ます。

式に表すと以下のようになります。

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次に有感体積の空気の質量は1.3×10^-6[kg]であるため、吸収線量は以下の様に求められます。このとき、[eV]→[J]に変換することを忘れないでください。

※1[eV]=1.6×10^-19[J]

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単位Gy、Jについておさらいしましょう。↓

hatomugikun.hatenablog.com