放射線取扱主任者試験対策(物理化学生物)ブログ

第1種放射線取扱主任者です。試験勉強を始めたばかりの方のとっかかりになるような、ある程度勉強を進めた方の見返しとなるようなブログを目指しています。

同位体希釈法について

同位体希釈法の

・直接希釈法

・逆希釈法

は試験に必ず出題されるので覚えて理解しておきましょう。

 

各々簡単に説明すると、、、

 

・直接希釈法

混合試料中にある特定の成分を求めるために、求めたい成分と化学式が同じ成分に放射性同位体で標識したものを入れる方法です。図で示すと以下の様になります。

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・逆希釈法

混合試料中にある特定の成分を求めるために、求めたい成分と化学式が同じ非放射性の成分を入れる方法です。図で示すと以下の様になります。

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各々の方法について過去問付きで詳しく解説したページは以下です。

hatomugikun.hatenablog.com

hatomugikun.hatenablog.com

同位体希釈法:逆希釈法について[過去問解説有]

逆希釈法について記載します。

 

逆希釈法の方法を以下、記載します。

 

①混合物中の成分について定量したい成分同じ化学式の非放射性成分を加えます。

 ※定量したい成分の比放射能Sは把握されている必要があります。

②よく混ぜた後、定量したい成分を一部だけ化学分離して比放射能を計測します。

③計測した比放射能から、混合物中に元から入っていた定量したい成分量を逆算して求めます。

 

求めたいのは混合物中の特定の成分質量:Mです。

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質量:Mを求めるために、、、

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混合前後での全放射能が等しくなることから以下の式が求められます。

M×S=(M1+MS0

M1,S,S0は分かっているので、上式より質量:Mが求まります。

 

<平成22年度化学過去問>

同位体希釈法(逆希釈法)で混合物試料中の化合物Aを定量した。Aの比放射能は、700dpm/mgである。この試料に非放射性の化合物Aを25mg加えて完全に混合した後、一部を純粋に分離したところ、その比放射能は70dpm/mgとなった。混合物試料中の化合物Aの量[mg]として最も近い値は、次のうちどれか。

(1)0.1以下 (2)0.6 (3)1.7 (4)2.8 (5)3.0以上

 

<解説>

M×S=(M1+MS0

上式に当てはめると、

M1:25mg

S:700dpm/mg

S0:70dpm/mg

となり、当てはめて解くとM=2.8mgとなる。よって答えは(4)。

※dpmは1分間の壊変数を表します。

同位体希釈法:直接希釈法について[過去問解説有]

直接希釈法について記載します。

 

直接希釈法の方法を以下記載します。

①混合物中の成分について定量したい成分と同じ化学式の放射性同位体で標識した成分を加えます。

②よく混ぜた後、定量したい成分を一部だけ化学分離して比放射能を計測します。

③計測した比放射能から、混合物中に元から入っていた定量したい成分量を逆算して求めます。

 

文だとわかりずらいので絵にしました。

 

求めたいのは混合物中の特定の成分質量:Mです。

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質量:Mを求めるために、、、

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混合前後での全放射能が等しくなることから以下の式が求められます。

M1×S1=(M1+MS0

M1,S1,S0は分かっているので、上式より質量:Mが求まります。

 

<平成23年度化学過去問>

混合物試料に含まれるある成分Xを、同位体希釈法(直接法)で定着した。試料に放射性同位体で標識したX(比放射能は500dpm/mg)を10mg加えて完全に混合した後、一部を純粋に化学分離したところ、その比放射能が100dpm/mgとなった。試料中に含まれた成分Xの量[mg]として、正しい値は次の内どれか。

(1)10 (2)40 (3)50 (4)100 (5)150

<解説>

M1×S1=(M1+MS0

上式に当てはめると、

M1:10mg

S1:500dpm/mg

S0:100dpm/mg

となり、当てはめて解くとM=40mgとなる。よって答えは(2)。

※dpmは1分間の壊変数を表します。